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しあわせ

昨年の10月上旬、父方の祖母が米寿を迎えることなく亡くなりました。ガンでした。数年前に胃ガンの手術を受け、そのときは無事に退院し、しばらく元気にしていました。しかしながら、加齢により、徐々に足が悪くなっていき、昨年9月、自宅で転倒し骨折。入院して手術を受け、その手術自体は問題なく成功したものの、どこかに転移していたらしいガンのはしくれが、点滴の波に乗って全身へ。体もかなり弱っていたのでしょう、苦しむこともなく、そのまま帰らぬ人となりました。

私が知っている祖母は(彼女の人生の後半の20年ほどですが)、「老いては子に従え」という言葉を決して信じない、孤高の人でした。外面が良く、プライドが高く、我が道を行き、決して折れない屈しない。最近の言葉で言えば「KY」という感じでしょうか。20年以上前に亡くなった祖父はジャイアンツファンでしたが、そんな祖父に対抗して祖母はタイガースファンでした。一緒に応援しないで張り合ってしまうあたりが、彼女の気質をよく表していたと思います。

子供もあまり好きではなく、私が小さかった頃も遊んでもらった記憶はありません。もっとも、私は実家で飼われていた猫と遊んだり、山で虫を捕ったりする方を楽しみにしていたので、祖母に遊んでもらえなかったからといって、それを悲しいとか寂しいなどと思ったことはありませんでした。しかし、その猫を、祖母は主にネズミの駆除のために飼っているということを知った時はさすがに胸が痛かったですね。そう言えば、確かに、彼女は歴代のどの猫も決して家の中に上げることをせず、抱き上げたり撫でたりして可愛がっているところは見たことはありませんでした(ちなみに、外の倉庫が猫のねぐらで、私が実家に帰ると、私は全身を拭いてあげてから猫を家の中に入れてあげていました。そのためか、私は猫には大変好かれていました)。

晩年は認知症もかなり進行し、日を追うごとにできることがどんどん減っていき、季節や時間の感覚もなくなっていき、最終的には、寝て起きて食べてはまた寝る、を繰り返すだけ。プライドの高さも災いしたのか、私の父や母の言うことには耳を貸さず、むしろ逆ギレすることもあったとか。お互いにストレスのたまる日々だったようです。盆暮れ正月には欠かさず、彼女の孫にあたる我々姉弟3名、そしてひ孫にあたるお鶴やそのいとこたち総勢7名(合計10名!)に囲まれていながらも、決して自らそこに近づくことはありませんでした。食卓すら別の部屋でした。子供好きだったら最高の環境だっただろうに、と悔やまれてなりません。

葬儀というと、とかく沈みがちですが、そういう時に支えになるのが、皮肉なもんで、やはり子供の力ですね。葬儀の進行上は邪魔になることも多々ありますが、純粋な心や言葉で周囲を和ませてくれます。思えば、お鶴が両手を合わせて拝む仕草を覚えたのもこの時でした。うまく言葉にできない(あるいはしない)にせよ、産まれて初めて「死」というものを目の当たりにして、子供たちなりに考えるものがあったと思います。火葬された後、骨を骨壷に納めるときも、お鶴なりに空気を感じ取っていたようです。

「幸せ」とは「死会わせ」、つまり誰かの「死」に「会う」こと。最期を見送れること、そこから「何か」を感じ取ること、継ぐべきものを継げること、廃すべきものを廃せること、そしてまた今を生きるということ。「死」自体は悲しいことではあるけれど、人は誰か(あるいは何か)の「死」を経験して初めて自分にとっての「幸せ」に気づけるんじゃないかなぁ、と。その「死」が身近であればある程、痛烈に。

30歳という節目を迎えることになる今年、土いじりをしようと決心したのは、実は祖母の死による部分が非常に大きいです。次はオレの番だ、と。それに今気づけたのも、一つの「幸せ」であるのではないか、と考えています。

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