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ツール・ド・フランスの魅力

以前にも書いたことがあるが、毎年この時期に楽しみにしていることの一つにこの「ツール・ド・フランス」がある。皆さんもその名前ぐらいは聞いたことがあると思う。フランスで開催されている自転車のロードレースである。・・・でも、それ以上のことをご存知の方は、意外と少ないのではないだろうか。例えば、実は個人戦だけではなくチーム戦でもあるということとか、集団はその先頭と最後尾まで同タイム扱いにされることとか。ツール(略してこう呼ばれるのである)には本当に多くの魅力があるのだが、皆さんの誤解を解くとともに、私自身の知識の確認のためにも、ここに書き留めておきたい。

概要:
まずはツールの規模からご紹介しよう(以下、「 」内はこちらのサイトから引用したものである)。「今年で103周年を迎えるツールだが、途中2回の大戦で開催されなかった時期があり、開催回数は今年で93回目。観戦者だけでも期間中1,500万人、TV中継を含めれば世界中で約10億人が観戦するロードレースの最高峰。大会関係者、プレスなど随行者だけで4,500名、1,500台の車両が移動する。毎日1,200室の部屋が確保される。」そして、「アルプス、ピレネー、中央山塊の山岳地帯を越え、全選手憧れのパリ・シャンゼリゼにたどり着くまでの約3,600kmをわずか23日間(2日間の休息日を含む)で駆け抜ける。フランスをほぼ1周するツールは1日の平均走行距離170km、高低差は2,600mに達し、選手たちが毎日消費するエネルギーは7,000kcalともいわれる。」成人男性が1日に消費するエネルギーの目安がだいたい2,000kcalぐらいなので、ざっと3.5倍の計算だ。それを3週間も続けるのだから、その過酷さはフルマラソンや駅伝の非ではない。

One for all, All for one:
前述のとおり、ツールは実はチーム戦でもあるのだ。今年出場しているのはこちらの20チーム。1チーム9名まで登録が可能なのだが、実際のチーム順位に影響するのはチームの中のトップ3の選手のみ。公式ルール(以下、こちらのサイトより引用)では「毎ステージ終了後に各チーム上位3人のタイム総計によって、チームステージ順位とチーム総合順位が決定される」となっている。そして、これらの各ステージの累積により、最終的にどのチームが優勝するのか、というのも魅力の1つなのである。
  また、各チームには「エース」と「アシスト」と呼ばれる選手がいる。アシストは文字通り、エースを先導して風除けの役目を果たしたり、飲み物などの補給をしたり、とにかく全力でアシストするのだ。そして、エースはそのアシストに応えるわけである。

エースの輝き:総合タイム首位=マイヨ・ジョーヌ(Maillot Jaune)
そして、そのエースが目指すのがこの賞だ。いわゆる個人総合優勝。「各ステージ終了後、ツール初日から当日までの総合タイムトップの選手が、総合首位として毎日表彰を受ける。 また全21ステージを通しての総計首位選手がツール・ド・フランス総合優勝に輝く。そしてこの総合リーダーに授与されるのがマイヨ・ ジョーヌ、つまり黄色いジャージだ。」このジャージを受け取った選手は、翌日これを着てレースに出ることができる。それ以外の人は着ることはできない、まさに王者の証なのである。

白熱するポイント争い:ポイント賞=マイヨ・ヴェール(Maillot Vert)
各チームには瞬発力に優れ、短距離の疾走を得意とする選手がいる。彼らは「スプリンター」と呼ばれるのだが、彼らが目指すのがこの賞。「各ステージ途中に設けられた中間スプリントポイントと、ゴールポイントを最も多く獲得した選手に与えられる。そしてこのポイント賞リーダーに授与されるのがマイヨ・ヴェール=緑ジャージだ。」各コースにはゴール以外にも3ヶ所ほどの「スプリントポイント」と呼ばれるチェックポイントがあり、ここを通過する順位に応じて、そしてゴール地点ではそのコースの難易度によって選手にポイントが与えられるのだ。総合優勝だけが争われるポイントではない、というのもまたツールの魅力だ。また、毎年3コースほど、個人タイムトライアルのコースがあり、これは他のコースの3分の1以下という短いコース設定であるため、彼らスプリンターが大活躍・大躍進する舞台でもある。

山登りのプロは誰だ!:山岳賞=マイヨ・ア・ポワ・ルージュ(Maillot a pois rouge)
前述のとおり、ツールではアルプスやピレネーのような山岳地帯もコースに含まれている。各チームにはこの山登りを得意とする選手、「クライマー」も存在するのだ。そして彼らが目指すのがこの賞。コース内にある各峠の頂上には、その標高(難易度)に応じて超級・1級・2級・3級・4級と5段階に分けられており、それぞれ山岳ポイントが決められている(超級1位通過は20pts、4級1位通過は3pts、といった具合)。「また各ステージ最後の峠が2級・1級・超級の場合は、最終峠ポイントは2倍となる!そしてこの山岳賞リーダーに授与されるのがマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ=白地に赤玉ジャージだ。」山岳王という大変名誉ある賞にもかかわらず、白地に赤の水玉という大胆でかわいいデザインがなんとも素敵なのだ。

未来の王者を占う:新人賞=マイヨ・ブラン(Maillot Blanc)
「1981年1月1日以降に生まれた25歳以下の選手の中から、個人総合タイムトップの選手に与えられる。制限年齢以下なら何度でも受賞できるため、「新人賞」というよりは「最優秀若手賞」の意味合いが強い。そしてこの新人賞リーダーに授与されるのがマイヨ・ブラン=白ジャージだ。」この賞を受賞した若手が将来、上記で紹介した3つのジャージのいずれかに袖を通す可能性は決して低くはない。今後のツールを楽しみにしてくれる賞なのだ。

人間味に溢れたレース展開:敢闘賞=ドサール・ルージュ(Dossard Rouge)
「タイムトライアルを除く各ステージで、成績に関係なく最も勇敢な走りを見せてくれた選手に与えられる。大会関係者・ジャーナリスト・元選手で構成される8人の審判団が投票と話し合いで決定する主観的な賞である。審査基準は以下の6点。
  1. 闘志
  2. 毅然さ
  3. 努力を惜しまない姿勢
  4. 勇気
  5. オーラ
  6. チームへの奉仕精神
他の賞と違ってポイント総計制・タイム制ではなく、各ステージごとに新たな受賞者が誕生する仕組み。そしてこの敢闘賞受賞者に授与されるのがドサール・ルージュ=赤ゼッケンだ。このゼッケンをつけて出走できるのは、受賞日の翌ステージのみ。また最終日前日には審判団が、ツール全期間を通して最も奮闘した選手を決定。スーパー敢闘賞としてシャンゼリゼで表彰を受ける。」極めて主観的なこの人間臭さがたまらない。

  人間臭さと言えば、駅伝などでは監督や沿道の人が選手に触れてはいけないといったようなルールがあるが、ツールではそのあたりは寛容なようで、走りながら沿道の人たちとハイタッチをかわしている選手がいたり、ツールの日程を追うようにしてキャンピングカーで移動しているキャラバン隊のような熱狂的なファンがいたりする。彼らはちゃんと応援のマナーをわきまえていて、日本でよく見られるような、マラソンに自転車で併走するような危険な行為は決してしない。むしろ、ワインとチーズで優雅に観戦というような感じだ(うらうやましい)。

  他にはやはり、フランスの景色の美しさ、というのももちろん魅力の一つだ。山間部で見ることのできる緑、湖、お城、そして都市部で見ることのできる家並み、教会・・・。一度でいいから私もキャラバン隊の一員に加わって、3週間フランスを一周してみたいものである。


「ツール・ド・フランス」関連リンク
http://www.jsports.co.jp/style/
http://www.trekbikes.co.jp/race_news/tdf/

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もちろん、選手の競り合いこそ最大の魅力なのは言うまでもない。フルマラソンなどと同様、各ステージでは、トップ争いやスプリントポイント・山岳ポイントの争いをする数人の選手が先頭を走り、それに数分の遅れで大集団が追走するというのが、だいたいのレース展開なのだが、各チェックポイントやゴール前での激しい競り合いは、やはりいつ見ても興奮させられる。
 ちなみに、7,000kcalものエネルギーをどう補給するかというと、マラソンなどのように決まった補給地点もあるのだが、それとは別に併走しているチームカーから適時補給を受けることもできる(ドリンクだけではこれだけのエネルギーは補えないので、カロリーメイト的なブロックタイプの食料品も補給できる)。チームの中のアシスト役の選手がチームの人数分を受け取り、背中の部分にあるポケットにしまい、走りながら他の選手に渡す、というシーンがたびたび見受けられる。アシストとはいえ、完走しなければ次のステージには出られないので、彼らの貢献・奉仕はなくてはならないものなのである。
  • 2006-07-14 01:57
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