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霧多布概論 2

 そんなわけで、北海道の自然を満喫したいという嫁さんたっての希望により、ここ霧多布湿原センターを訪れている我々。いよいよ長靴トレッキングのスタートです。湿原に入る前に我々は1つ面白いものを見つけました。上段写真左をご覧ください。これがなんだかわかりますか?これはキタキツネのフンです(お食事中の方、申し訳)。キタキツネは夏には昆虫類も食べるんだそうですが、羽がキラキラしていて美しい(例えば玉虫のような)昆虫を食べると、その羽の部分が消化されずにこうしてフンにそのまま残ってしまうんですね。我々のフンもこんなだったらすごく嫌です。小さい男の子なんか、「おかあさーん!う○ちがぁぁあ!」って大騒ぎしそう。…って、失礼しました(苦笑)そんな動物のフンまで楽しめる霧多布湿原。いよいよその入り口に差し掛かります。するとそこには熊笹がたくさん生えていました。実際この前日にはセンターの近くに熊が現れたそうですが、ま、それとは特に関係なく、笹にはこうして横一列に穴の開いているものをたまに見かけます。問題:これは一体なんでしょう?A.熊の爪痕/B.虫が食べた痕/C.キタキツネの縄張りの印/D.センターの人の茶目っ気。さぁ、正解はA~Dのうちどれでしょう?……おわかりになりましたか?それでは正解の発表です。正解は、もちろんB!笹の葉がこうして開く前は、縦にくるくる巻かれた状態になってるんですが、その若い葉を虫が食べた後、その葉っぱが開くとこうして横一列に食べた痕が残るということなんですね。ちょうど折った紙に切込みを入れた後、また広げると面白い形に穴が開くのと同じ原理です。

北海道にはカエルは2種類しかいないそうです。その1つが皆さんお馴染みのニホンアマガエル(これは後に登場します)。そしてもう1匹が中段写真右のエゾアカガエル。ヨーロッパ系でも朝鮮系でもない、日本の独立種だそうです。この子は2cm前後でまだまだ産まれたばかりのお子様。ガイドのお兄さん曰く、「捕まえて手のひらの上でひっくり返し、お腹をなでてやると面白いですよ」ということだったので、さっそくやってみると、気持ちいいのかまったく微動だにしません。なでる手を止めてもそのまま死んだようにじっとしてます。まさに“ひっくりかえる”……失礼しました。気を取り直して中段写真左。このあたりには葦がびっしり生えているんですが、その葉っぱの中にはこうしてきれいに折りたたまれたものがたまにあります。さて問題:これはなんでしょう?ってもういいですか。オトシブミの揺籃(ようらん)にも似ていますが、ここにはクモの卵が入っています。カバキコマチグモを代表とするコマチグモという種類のクモのメスは、こうして折りたたんだ葦の葉の中に卵を産みつけ、そして自らもこの中に閉じこもり、万が一侵入者が現れた場合には身を挺して戦い、卵を守ります(なので、開封して中を見ようとしてはいけません。人間にも噛み付きますし、死ぬほどではないですが、日本の在来種では最も強い毒を持っているようです)。しかも、母親の役目はそれだけではありません。卵が無事に孵化して、子供が生まれたときには、自らの身を子供たちに捧げます。つまり、自分が子供たちのエサになるんです。クモの母子愛。素晴らしいですよね。カバキコマチグモは漢字で書くと「樺黄小町蜘蛛」と書くそうですが、コマチは「子待ち」ともかかってるような気がします。そういえば、オスは何してるんでしょうね(笑)

 さて、気を取り直して下段写真左。これは水芭蕉の実です。緑色のナマコといった感じです。でも、決して食べてはいけません。水芭蕉には毒があります。強力な下剤です。冬眠明けの熊が腸内の脂肪を吐き出すために水芭蕉の根を下剤として食べるそうですが、決して真似しないように。人間は熊ほど丈夫じゃありません、死んでも知りません。また、葉などの汁にはシュウ酸カルシウムが含まれ、肌に付くとかゆみや水ぶくれを起こすことがある、とのこと。触らぬ神に祟りなし、水芭蕉には気をつけましょう。毒の話ばかり続いてナンなんですが、下段写真右も猛毒をもっている植物です。真ん中あたりからスっと生えている、ヨモギに似た草、なんだかわかりますか?“猛毒”の時点でお分かりかもしれませんが、そう、「トリカブト」です。おそらくエゾトリカブトでしょうか。全体に毒があります。特に根には強い毒があるそうで、昔アイヌの人々は、この毒を抽出して鏃(やじり)に塗り、狩を行ったそうです。この横にヨモギも生えていますが、よく似ていますので間違って採取したりしないように。採取しても食べたりしないように。食べなくても血液中に流さないように。死にます。すぐ死にます。ちなみに、花にも花粉にも蜜にも毒があります。蜂蜜でも中毒例があるそうです。怖い怖い。しかし、使い方を間違わなければ、トリカブトの毒は漢方薬にもなるそうですよ。ま、我々素人は近寄らない方が無難です。

さて、ちょっと毒の話ばかりだったので、ここらで別の話を。「ヤチボウズ」って皆さんご存知でしょうか?ヤチボウズは「谷地坊主」と書きます。“湿地に多く分布するカヤツリグサ科の植物、カブスゲは、地下茎が盛んなため、冬に凍って株ごと盛り上がります。さらに春先に根元が雪解け水などでえぐられると、繰り返しによって数10年で高さ40~50cmになる大きなかたまりをつくります。その様子がお坊さんの頭に似ていることから「谷地坊主(ヤチボウズ)」と呼ばれます”とのこと。トリカブトの土台になっている細長い葉っぱ一本一本がカブスゲ。それが寄り集まってできるわけです。場所によっては1.5m以上になることもあるとか。これはまだまだ小さい方ですかね。

そんな湿原の神秘の一部に触れた我々。このあともまだまだ神秘は続きます。

<次回へ続きます>

霧多布湿原センター:http://www.kiritappu.or.jp/center/
エゾアカガエル:http://www.hkr.ne.jp/~rieokun/frog/ezoaka.htm
カバキコマチグモ:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%90%E3%82%AD%E3%82%B3%E3%83%9E%E3%83%81%E3%82%B0%E3%83%A2
水芭蕉:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6
トリカブト:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%96%E3%83%88
湿原に生きる ヤチボウズ:http://www12.plala.or.jp/ecoclub_kushiro/yatibouzu.html

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